本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
スーザン・クーパー「闇の戦い」シリーズ(評論社)
去年の暮れに急に再読したくてたまらなくなって、図書館で全 4 巻借りてきました。シリーズに対する思い入れについては、その頃の近況報告に。本当は 5 部作ということになっているけど、第 1 部は主人公が違うので、個人的には 4 部作扱いでも別にいいかなあ、なんて。一番好きなのは……と書こうとして、全部それぞれ優劣つけがたく好きであることに気付いてしまった。

現代イギリスが舞台のファンタジーなんだけど、アーサー王伝説やマビノギオンなどが下敷きにあって、重厚な奥深さのあるシリーズでした(第 1 巻は、2 巻以降の主人公が登場せず、ちょっと軽め)。

個々のシーンの描き方がすごくビジュアルで、今でも色々、脳裏にわーっと浮かんでくるよ。イギリスならではの日常生活の描写も面白かった。時間を超越した人外の存在でありつつ「普通の男の子」でもある主人公のキャラクターも好きだった。日本語版の、浅羽莢子さんの翻訳もすばらしかった。人の認識を超えたところで闇と光が争う時の流れの中においての、個々の「普通の人間」に対する視線の無情さみたいなのが垣間見える部分があって、母親は私がせがむのに応えて全巻買ってくれつつ、小学生が読む本としては問題があるのではと危惧していたし(子供に与える本には、かなりきっちり目を通す親でした)、はっきりそう言われもしたが、当時はそういうのも含めて、入れ込んだ。

思えば、小学生のときにこのシリーズに出会わなければ、一時期の私は存在しなかったはずです。大学で史学科を選んだのは、もしかしたら間接的にトールキンのせいだけど(普通はトールキンの影響なら、英文学や言語学や神話学に行くのかもしれんが「世界観を得る」という意味で私にとっては「史学」だったんだよ)、アーサー王伝説やブリテンの歴史やウェールズに興味を持って卒論でウェールズ中世史を取り上げたことには、明らかに子供の頃からの「闇の戦い」シリーズ(特に後半)への愛が大きく関与している。そういえばアレッド・ジョーンズも最初は、「ウェールズ出身」というところに興味を持ってアルバムを買ったんだった。

闇の戦い〈1〉光の六つのしるし (fantasy classics―闇の戦い)
闇の戦い〈1〉光の六つのしるし (ファンタジー・クラシックス)
〔浅羽莢子・訳/新版2006年/1981年〕
(原書 Susan Cooper "The Dark is Rising" 1973)

闇の戦い〈2〉みどりの妖婆 (fantasy classics―闇の戦い)
闇の戦い〈2〉みどりの妖婆 (ファンタジー・クラシックス)
『緑の妖婆』〔浅羽莢子・訳/新装版2006年/1981年〕
("Greenwitch" 1974)

闇の戦い〈3〉灰色の王 (ファンタジークラシックス)
闇の戦い〈3〉灰色の王 (ファンタジー・クラシックス)
〔浅羽莢子・訳/新装版2007年/1981年〕
("The Grey King" 1975)

闇の戦い〈4〉樹上の銀 (ファンタジー・クラシックス)
闇の戦い〈4〉樹上の銀 (ファンタジー・クラシックス)
〔浅羽莢子・訳/新装版2007年/1982年〕
("Silver on the Tree" 1977)
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2006〜2007年にかけて出た新版は、浅羽莢子さんご自身によって改訳されているとのことだったので、新たに購入しました(『樹上の銀』の作業完成前に浅羽さんがお亡くなりになったため、これのみ編集部がほかの3冊に合わせて手を入れているそうです)。
| 2009年のならの | 2009/01/12 10:21 AM |









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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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