本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
妹尾ゆふ子『太陽の黄金 雨の銀〜夢の岸辺〜』(講談社X文庫ホワイトハート)
3部作のうちの第1巻。

ごく普通の男子高校生であったはずの主人公・徹は、気がつくとセーラー服を着て見知らぬ土地にたたずんでいた。やはり謎の理由で同じ場所に現れた、クラス一の才女で委員長の小泉は、魔女の格好。わけも分からぬまま竜に襲われ、騎士や姫君に出会い、翻弄される二人。どうやらこれは、誰かの夢の中らしい……。でも、誰の?

「夢」というものの持つ「不条理」なかんじが、すごくリアルに思えて。読んでるうちに、あ、私、たしかに夢の中でこういうふうな感覚をおぼえたこと、あるあるあるっ! みたいな。次々と主人公の目の前で展開されていく不可解な事象の連なりに、ちょっと『不思議の国のアリス』を連想しました。

頭良くって、しっかりしてて、意地っ張りで、世間的な意味では全然可愛げなくて、でも実はすごくいじらしい小泉委員長と、一見ぼーっとしてるくせに最後には小泉の可愛い部分にしっかり気付いてしまえる徹のコンビが、すごいいい味出してます。なんか好きだなー、このふたり。

このシリーズ、版元品切れ再版予定なし、なのだそうです(2000年3月現在)。1993年から1994年頃というと、私が生涯で一番、小説本を読んでいなかった時期なのだ。だからアンテナに引っ掛け損ねちゃってたんだな。この著者の別名による漫画家アシスタント業やイラスト業のほうは、ずいぶん前から存じ上げていたので、もし当時本屋で手に取って著者略歴を見てたら、きっと「ああ、あの!」と思ったに違いないんだけど。残念。2巻がまだ入手できていないので、ちょっと困っています。先に第3巻を読むことになりそうです。

太陽の黄金 雨の銀―夢の岸辺
〔1993年〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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