本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
長野まゆみ『夏至南風(カーチィベイ)』(河出文庫)
からりとした本格的な夏がやって来る少し前に、南から吹いてくる湿った風。何もかもを、腐らせていくような、湿った生暖かい、風。

そんな風に吹かれるままに、中国系の架空の土地であるらしい町全体が、そして少年たちが、けだるく腐敗している。なのに、そんな彼らが奇妙に透明な存在に見えるのは、彼らに普通の意味での「愛憎」が欠落しているから、かもしれない。

毒の花のように繊細で傷つきやすく残酷な少年たち……。

昔々のデビュー作『少年アリス』あたりではまだ見え隠れする程度だったこの著者の「毒」っぽい部分が全開ってかんじで、ちょっと戸惑ってしまったけれど、なんとなく「書かれるべくして書かれた作品」という気もした。

夏至南風(カーチィベイ) (河出文庫―文芸コレクション)
夏至南風(カーチィベイ)
〔1999年/親本1993年〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
 現在では捉え方が変わった本もありますが、感想文は誤字の修正など以外ではほぼ当時のまま。
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