本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
近藤史絵『カナリヤは眠れない』(祥伝社文庫)
買い物依存症の奥さんと、「若い女性の金銭感覚」を取材するように命じられた雑誌記者。物語は二人の視点で、交互に語られる。二人の接点になるのが、口は悪いけどめちゃくちゃ腕のいい整体師の先生。

そして、特に事件らしい事件も起こらず、ストーリーは進んでいくかのように見えて……。

この、買い物依存症の奥さんが、精神的に弱い人なんだけど、とてもいじらしくてね。「がんばれー!」と言いたくなってしまう。友達との関係でも、夫や姑との関係でも、常に自分に自信を持てずにいる、彼女。その内面描写が、かなりリアルで、依存症に陥っていくのもデリケートな人ならありうるよなあ、と納得できてしまう。とにかく、いじらしいのだ、このヒロイン。

だから、ラストは救いがあってよかったな。決して甘ったるくはないんだけど。

誰もが、少しずつ、何かを抱えてる。そして「心が弱い」ということは、悪いことではないんだよ、とこの整体師は、言ってくれているかのようだ。デリケートであればあるほど、弱さに陥ってしまうのは、ある意味仕方のないことなんだよ、と。でも、大切なのは、その弱さを自覚すること。自らを回復させよう、強くなろうと志向すること。そしてその弱さに、甘えないこと。その弱さを、忘れないこと。

なんかね、ほっとするんだ。

カナリヤは眠れない (ノン・ポシェット)
〔1999年〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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