本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
橋本治『宗教なんかこわくない!』(ちくま文庫)
橋本治は、私にとっては、もしかしたら「20世紀で一番頭のいい人」で、だけど彼は頭がいいから、決して宗教家のようになにかを断言することなんかない。彼の文章はのらりくらりと、はっきりいって悪文と言っていいほどに読みにくいけれど、反面、彼の思考を読者が追跡するには、この文体しかありえないとも思える。なぜなら、彼の思考は、あまりにも広範囲のものを一瞬にしてカバーしてしまうから。

この『宗教なんか怖くない!』という本は、企画としてはなんだかとっても、イロモノっぽいんだよね。例の宗教団体が、とんでもない事件を起こしてとんでもない騒ぎを引き起こした直後に書かれた本だ。そして多分、橋本治は、この本を「イロモノ」的なものとして見る人間がいることを、ハナから承知のうえで、この本を書いてる。

だからこそかもしれないけど、もうこの人には何を言っても、こちらが彼の術策に嵌っている、というかんじになってしまうんだよな。追いかけても追いかけても、この人は自分の論理に穴をあけない。というか、わざと穴をあけておいて、そこに誘い込まれた者に「実はね、穴の底には、こんなものを敷いて補強してあったんだよ、だからこれは本当は穴じゃないんだ」と明かしてくるみたいな。

うーん、何書いてんだか、自分でも分かんなくなってきた。

だって、分かんないんだもん。頭の良くない読み手としては、読了しても、なんか分かったような、分かんないような、まるめこまれたような、突き放されたような、宙ぶらりんな感じが残る。そして、この感じこそが、著者の意図したものなのではないかと、ひそかに思ってみたりもするのだ。

結局、たたき込まれたメッセージは、ただ1つ。「自分で考えろ! 本読んで分かろうとなんかするんじゃない!」

そういうことじゃないのかなー。

あ、この本の中でちょっと橋本治が「いずれ書きたい」と言っていたお釈迦様の本っていうのは、めちゃくちゃ読んでみたいぞ。読んでみたくてたまらないぞ。絶対、面白いと思うんだ。

宗教なんかこわくない! (ちくま文庫)
宗教なんかこわくない!
〔1999年/親本1995,マドラ出版〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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