本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
笹本祐一『星のパイロット』(ソノラマ文庫)
時は少しだけ未来。場所はアメリカの田舎町郊外。弱小の航空運送会社スペース・プランニングにやってきた新任の宇宙パイロットは、子供みたいにあどけない(と、アメリカ人の目には見える)、日本人の少女だった……。

経験のなさを天性のカンと度胸でカバーのパイロット、美紀。どこをどうとってもダイナミックな美人社長のジェニファー。子供ながら天才プログラマのマリオなどなど。スペース・プランニング社の各メンバーは、どの人もこの人も、とってもチャーミング。

わいわいとおふざけやってるけど、でもみんなそれぞれ、自分の持ち場では真摯に「プロ」に徹してるのが、かっこいい。こういうの、好きだなあ。

飛行機関係の描写がすごく丁寧で、嬉しそう。作者は、すごく楽しんで書いているに違いない。文系な私には、そのほとんどはよく分からなかったりしたのですが、それでも楽しい。

軽〜く読めるけど、いい加減に書かれているわけでは決してない。キャラにも素直に感情移入できて、ストーリーの流れにも納得できて、最後に「よかったねえ」と一緒に喜べる、後味のいいエンターテインメントの基本型かと。

星のパイロット
〔1997年〕

それでもって、ハマりついでにドラマCDなんてもんまで聴いてしまったのである。給料日前にこんなものの存在(定価4600円)を知ってしまうとは、運命って残酷。笹本氏のエッセイなんかも同梱されてて、面白かったんだけど。

で、思ったのは、やっぱりこの著者って、感性なんてもんに流されない、すごくしっかりした「書く技術」が身につくだけのバックグラウンドがあるんだわ。

オーディオ・ドラマのシナリオ、映像ドラマのシナリオ、そして小説。それぞれを経験して、作者にとってのそれぞれのメリットとデメリットを念頭に置いたうえでの書き方を、テクニックとして知ってる人なんだわ。私は、そういう人の書いた文章が好きです。

ってわけで、このCDも、ストーリーだけを追えばちょっとしたエピソードまで小説版とほぼ共通してたんだけど、いいシナリオでかなり楽しめました。ラスト近くで少し小説と違う展開になるのは、小説版での不備を CD版で修正したためだそうですが……例によって例のごとく、著者自身による説明を読んでも、その小説版でマズかった点っていうのが、文系頭ではピンと来なかったりしました(笑)。そーゆーところに、読者以上にこだわっちゃう姿勢も、けっこう好きです。

 ドラマCD「星のパイロット」(GAINAX)
 原作・脚本:笹本祐一
 声の出演:宮村優子、平野文ほか

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