本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
梅原克文『ソリトンの悪魔(上・下)』(ソノラマ文庫NEXT)
この著者の本を読んだのは、初めてです。海底の施設に人間が常駐し、海上には巨大な都市が建設されつつある、近未来。そこに襲ってくる、正体不明の巨大な生き物。

いやはや。なんとも、派手な話だ。次から次へと襲い掛かるトラブル。クライマックスに次ぐ、クライマックス。だけどなー、なんかなー。ここまで派手な話にする必要、あるのかしら? 私なんかはかえってちょっと、引いてしまうのですが。

なんていうか、ものすごく「作った」話というかんじが大きすぎて。いや、もちろん小説なんて、みんな「作り物」なんだけど……。

ああ、そうか。そのへんの「料理」の仕方が、私好みじゃなかったということなのかな。正直に言わせてもらうと、押し付けがましいかんじがした。「どうだ、スケールが大きいだろう! どうだ、面白いだろう!」みたいな。それと、なんとなくストーリーの流れに納得がいかなくて。ストーリー上の必然というよりは、ストーリーをさらにさらに派手にするために持ってきたんだな、と思えるエピソードが、すごく多い。なんていうんだろう、なんか、エンターテインメントとしてすっきりさくさく読むには、あまりにも暑苦しいんだけど、でもそれ以外のものとして読むには、あまりにも表層的なかんじもするし。だからと言って、深みを求めるような作品じゃないことも理解できるし……読み手としてのスタンスをどう取ればいいのか、迷ってしまうのだ。

いや、好きな人には、こういうの面白いんだろうけど。うん、私も面白くは読んだんだけど。うーん。なんとなく、ラストも「そう来るかあ?」とすっきりしない。いくらなんでも、これはないだろ、と。でももしかしたらこれが、エンターテインメントの、本来あるべき姿なのでしょうか。

多分、こっちの読み方が悪いんだな。私がこの手の小説に求めるものと、作者が目指したものが、違うベクトルを持っていただけのことなんだろうな。すみません。とにかく私が良い読者じゃなかったんです、ええ。

ソリトンの悪魔〈上〉 (ソノラマ文庫ネクスト)
ソリトンの悪魔〈下〉 (ソノラマ文庫ネクスト)
〔1998年/親本1995年〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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