本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
奥泉光『「吾輩は猫である」殺人事件』(新潮文庫)
夏目漱石『吾輩は猫である』の最後で、人間様が飲み残したビールで酔っ払って水瓶に落ち、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏と唱えながら意識を失ったはずの「猫」だったが、気が付くと、なぜかそこは上海行きの船の上。

野良猫としての暮らしも板に付き、たくさんの猫友達もできて上海生活にも馴染んできたある日、偶然目にした日本の新聞で、昔の飼い主だった苦沙弥先生が何者かに殺されたことを知る。事情を聞いた周りの猫たちの推理合戦が始まるが、謎が謎を呼び、事態は思わぬ方向へ。苦沙弥先生の家に集っていた人間たちの、思いもかけぬ正体とは? 名無しの猫がほのかに思いを寄せていた、近所の三毛猫の死の真相とは?

これ、めちゃくちゃ面白いよお! 猫が探偵しちゃうというのは、以前読んだアキフ・ピリンチ『猫たちの聖夜』(ハヤカワ文庫NV)にちょっと似たかんじ(あ、感想書いてない)。それを漱石文体でやってくれちゃってる。自分がそうしたから言うわけではありませんが、やはりこれは、本家本元『吾輩は猫である』の内容を記憶に蘇らせてから読むのがおすすめ。そのほうが文体や言葉遣いも楽しめるし、なにより『吾輩は猫である』でさらりと書かれていた細かいエピソードが、この『「吾輩は猫である」殺人事件』ではすごく活かされてるので。

読者の脳味噌を溶かしてしまう驚愕のラストには賛否両論ありそうですが、とりあえずものすごい奇書だと思うぞ、これは。

『吾輩は猫である』殺人事件 (新潮文庫)
『吾輩は猫である』殺人事件
〔文庫1999年/親本1996年〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
 現在では捉え方が変わった本もありますが、感想文は誤字の修正など以外ではほぼ当時のまま。
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