本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
神林長平『グッドラック〜戦闘妖精・雪風〜』(早川書房)
15年前に出たシリーズ前作がすごく好きで今でもよく読み返すので、めったにハードカバー本を買わない私も迷わず購入。っていうか、同居人A氏も結婚前に私の布教活動の餌食になって前作にハマっていたため、家族会議の結果「家計費」で購入決定だ。

これ前作は文庫でしか出てないんですよね。本棚に2冊並べると、とってもアンバランスなんですけど、前作の愛蔵ハードカバー版とか、早川書房は出してくれないんでしょうか。……買う人いないかな、あんまり。数年後に文庫化されたときに買い直す人は結構いるかも。

未知の異星体「ジャム」との戦いの日々。雪風というのは、主人公であるパイロット深井零が乗る戦闘機だ。ああ、前作『戦闘妖精・雪風』(ハヤカワ文庫JA)のネタバレをせずに本作に言及するのは、非常にむずかしいなあ。単なるドンパチSFじゃないんですけどねえ。日常に促した範囲だけの物語では決して純粋には抽出できない様々なことを、特異な設定を通じて鮮やかに提示し、色んなことを考えさせつつも、様々なモチーフをきれいにつないでエンターテインメント小説としても飽きさせない、私にとっては理想的なSFを書く人ですよ、神林長平は。エンターテインメントじゃないという人がいるのが、実は不思議でたまらない。

それにしてもまさか、前作のラストシーンのすぐ後から本作のストーリーが始まっていようとは。こっちの世界では15年が経過しているというのにさ。正直言って、私は前作のラストシーンで、もうこれ以上の印象的な幕切れは有り得ないとずっと思っていたので、あれからどういうふうに続編を書いていくつもりなんだ? と思っていました。だからかもしれないけど、なんとなく最初に続編が出ると聞いたときには、「あれから×年」みたいな話になるんじゃないかなあ、とか思っていたのですね。こんなにストレートな「続編」だとは、思ってなかった。

ただ、今回の『雪風』は、とっても面白かったしカッコよかったし感動しましたけど、前作とはだいぶ印象違いました。面白いと感じたポイントが、前作とは全然別のところだったような。ジャムとの戦いを通じて、キャラたちも変っていくという話だからかなあ。なんかこう、結構泣かせるんだ、雪風が。機械であるだけに。これが、実は前作執筆時点ですでに意図されていたのか、それとも作者自身の内部でも15年の歳月を経るうちに、なにかが変化したからなのかは、私などには分かりようもないのですが。

さらなる続編を、また15年後くらいに書いてくれると面白いんだけどなあ、なんて思ってみたりもしました。

グッドラック―戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)
グッドラック―戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)
〔文庫版2001年/親本1999年〕
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