本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
生野頼子『居場所もなかった』(講談社文庫)
えーと、前に読んだ『何もしてない』との前後関係はどうなるんだろう。多分、こっちが『何もしてない』より後の話なんだろう。

『何もしてない』と同じく、私小説。なんだろうなあ。独身女性作家であるところの「私」が、長らく住んでいたマンションを事実上追い出されて、新しい住処を捜さなくてはいけなくなる。ところが、不動産屋にはオートロックへのこだわりを軽視され、フリーランスの独身女性ということで不信感を持たれ、さらには印鑑証明の扱いでひともんちゃく。やっと入れた部屋は、到底住めないほどの騒音に晒されて……。

と、いうような粗筋だけ書いちゃうと、まるで「今時の部屋探し事情」に文句をつけた単なるエッセイみたいなんだけど、そこは笙野頼子。全然そんなんじゃない。

書いてあることは、「まあ、そんなことも実際あるだろうな」と思えることばかりなのに、どうしてこの人が書くと、何もかもが異世界の様相を呈してくるのだろうか。笙野頼子の目を通すと、自分が住んでいるこの当たり前の世界が、奇妙で不毛で不条理だらけのシュールな場所に見えてくるのだ。

居場所もなかった (講談社文庫)
居場所もなかった
〔文庫版1998年/親本1993年〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
 現在では捉え方が変わった本もありますが、感想文は誤字の修正など以外ではほぼ当時のまま。
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