本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
井辻朱美『遙かよりくる飛行船』(理論社)
痛いほどの、憧れの物語。それが、ラストシーンを読み終えた直後の印象。

それから段々と、密度の高かった想いは粘性を失い、拡散し、透明で涼しい水蒸気となって、空へ上っていく。本全体は、そんなイメージ。

古い血の中に脈打つ過去の重さと、これから起きようとしている変革――「惑星の脱皮」――との狭間で、ふたつの世界から同時に引っ張られている主人公は、地面からゼラニウムが鉢ごと生えてきてしまうような珍妙な街に住んでいて、それでもかなり現実的に存在感のある、ごく普通のOLだったりするのが、なんだかとっても新鮮だった。

遙かよりくる飛行船 (ファンタジーの冒険)
遙かよりくる飛行船 (ファンタジーの冒険)
〔1996年〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
 現在では捉え方が変わった本もありますが、感想文は誤字の修正など以外ではほぼ当時のまま。
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