本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
岩中祥史『名古屋嫁入り物語』(河出書房新社)
個人的事情で書き出してすまんが、はっきし言って、結婚することを決めてからは、ほんとに色々大変だった。中でもしょっちゅう私がぴきぴき来てたのが、ジェネレーション・ギャップというか、結婚にまつわる様々な「決まり事」や「伝統」ね。どーでもいいじゃんと私には思えることが、親にとってはボロボロ泣くほど大事なことだったりして、その辺の歩み寄りを模索するだけで疲労困憊してた。うちの一族がここまで旧弊だったとは……と目が点になっちゃったことも、数え切れないくらいあった。

どうも、こういう決まり事に対する「こだわり」って、同じ親世代でも関東より関西のほうが強いみたいで、関東人であるダンナのほうは、私ほど親との関係で苦労はしてなかったようだ。だもんで、それで余計にストレス溜まったりして。

そんなわけで、図書館でこのタイトルが目に留まったとき私が考えたのは、「そうだ! いくらうちの親がうるさいと言っても、色々な伝説を生んでいるあの名古屋人にはかなわないだろう! これを読めば『うちの親なんてまだまだ』と思えてストレス解消になるに違いない!」ということだった。これって、ドラマのノベライズなの? よく知らないんだけど。

名古屋出身の女の人と、東京出身の男の人が、結婚することになる。結婚に伴う様々な行事を、全て名古屋流にやるという条件付きで。深く考えもせず、結婚を許してもらえるならと頷いた男だったが、実は東京人の彼には想像を絶する世界が待ち受けていた!

ううう。笑えん。今の私には、ぜんっぜん、笑えんぞ、これ。全然ストレス解消にならねえよお。

基本的に、関東人向けに書いてあるね、これ。だから、関東の人が読んだら「名古屋の嫁入り」の派手派手しさ、大仰さに笑ってしまうんだろう。でもさ、この本の中で「関東人には信じられないことだが」みたいに書いてあること、全部、関西の田舎から嫁入りしてきた今の私には信じられちゃうんだもん!!

いや、確かに、スケール的にはこの本に書いてあるほどのことはなかったんですよ、うちは。その点では、「さすが名古屋!」と思ったんだ。でも、この本に出てくる花嫁の両親の言うことの根幹にある思想は、うちの両親と非常に似通っているね。おなじようなセリフ、たくさん聞いたんだよな。もう、ダブってダブって仕方がない。しくしく。

この本では、一旦は名古屋人のあまりの理不尽さに花婿がキレて結婚話が壊れかけるんだけど、結局花嫁の両親の気持ちを汲んであげようと吹っ切れて、ハプニングはあったものの盛大な結婚披露宴がとりおこなわれるハッピーエンドだった。

私たちの場合は、もうとことん抵抗したんだよなあ、納得の行かない決まり事には。何度も何度も何度も話し合いをして、なんとか双方の妥協できる点を見つけ出そうと苦心して、それでも最後にはある程度、賛同が得られないまま突っ走ってしまった。親不孝ですか? でも、自分では、それで良かったと思っているんだ。

だけど、どっかで、親はやっぱりムスメの結婚に関して夢描いてたのがぶっ壊されて悲しい部分もあったのかなあという気持ちもまだあって(そういう夢を勝手に描くこと自体は、ちょっとどうかと思うんだが)、だからこういう結末、少し痛い。

まあ、名古屋的な思想っていうのはどっちかというと関東よりも関西圏の文化と共通しているらしい……というのが実体験に基づいて確認できたのが収穫ですかね。ちなみに、実はうちの親の言い草は、関西人の友達でも「まだそんな家が残ってたんやねえ」と嘆息するようなものらしいので、本当は自分の体験だけをもとに「関西」を語ってはいけないのかもしれないんだが。

名古屋嫁入り物語
〔鶴島光重・原案/1994年〕
あ行(作者名) | permalink | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
結婚式を挙げてからもうすぐ11年になろうとしている今となっては、何もかもがもはやどうでもいい。
| 2009年のならの | 2009/01/10 11:07 PM |









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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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