本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
浅田次郎『地下鉄(メトロ)に乗って』(徳間文庫)
実は、私が今まで浅田次郎を読まないでいたのには、わけがあった。とある方々と、「最初に読んだやつが負け」という賭けをしていたの。去年文庫化されてすぐくらいに買ってたんだけど。しかし、こないだ新幹線のなかで『Jの神話』を読むつもりだったのが、「電車の中では読まないほうがいいよ」と言われたので読むものがなくなってしまって、ついこっちをカバンに入れてしまったんでした。つーわけで、私の負けです。ふん。

まあ、そんな話はどうでもいいね。とにかく、初めて読んでみた浅田次郎である。

で、シャクだけど、なかなか良かった。浅田次郎には色々と先入観があって、こんな話だとは思っていなかったので、余計にぐっと来てしまったのかもしれないけど。

だから、これからこれを読む人にも、ストーリーの内容については、何も言いたくないんだ。おじさんが主人公なのに、ロマンティックで、やるせなくて。

ただ、このカタルシスにどっぷりと漬かってしまっていいのだろうか。そんな危機感があるのは、どうしてだろう。結局、収まるべきものが収まるべきところに戻っていくこと、喪失されるものはあっても何もかもが「あるべき」方向に進んでいくことで、得られる美しさなんだよな。この作品に自分がハマって説得されてしまうことに対する焦りというのは、例えば私が何か既製の価値観に反抗してムキになっていても、結局は「みなと同じものを正しいと思っておけば間違いないんだから」と軽くいなされてしまうときの、焦燥感に似ている。なんでこんなふうに思っちゃうのかなー。

まあ要するに、私がヒネクレ者だということですわ。もっと歳取れば、素直に感動できるのだろうか。とりあえず、すんなりと読める作家だということは分かったので、他の作品も読んでみるつもり。

地下鉄(メトロ)に乗って (徳間文庫)
地下鉄(メトロ)に乗って (徳間文庫)
〔1997年/親本1994年〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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