1998.01.20 Tuesday
島村洋子『愛したりない』(幻冬舎文庫)
なぜだか去年本屋で最初に見かけたときからこのタイトルを『愛したりしない』だと思っていて、きっと「好きになるまい、なるまい、なってやるもんか、と思ってもやっぱり好きになっちゃった〜」というような切ない系恋愛小説に違いないと決め付けてて、読み終わったあとでも、ずーっとそのまま思い込んでて、ある日ふと見直したら……あれれ、私タイトル間違えて覚えてました。
主人公は、精神的におかしくなってしまうほどのディープな恋愛の結果、大怪我で右手の神経が切断されてうまく動かなくなってしまっている。その終わったはずの過去の恋愛の相手が、ある日突然、仲のいい女友達の新しい恋人として目の前に現れる。その恋が終わったときから、主人公はどこか壊れたままで、壊れたままやはりその昔の男が好きで好きで好きなんだ。
その一方では、単純なようでつかみ所のない大らかさを持つ「ハットリ」(忍者ハットリくんに似ている)のような男が現れたり。
妙に舌足らずな文体が、彼女の「壊れてる」かんじに合っている。この人の「好きだ」という気持ちは、なんだかどんどん、濃さを保ったままで周辺に拡散していくみたい。不思議な読後感。
愛したりない
〔文庫1998年/親本1992年〕
主人公は、精神的におかしくなってしまうほどのディープな恋愛の結果、大怪我で右手の神経が切断されてうまく動かなくなってしまっている。その終わったはずの過去の恋愛の相手が、ある日突然、仲のいい女友達の新しい恋人として目の前に現れる。その恋が終わったときから、主人公はどこか壊れたままで、壊れたままやはりその昔の男が好きで好きで好きなんだ。
その一方では、単純なようでつかみ所のない大らかさを持つ「ハットリ」(忍者ハットリくんに似ている)のような男が現れたり。
妙に舌足らずな文体が、彼女の「壊れてる」かんじに合っている。この人の「好きだ」という気持ちは、なんだかどんどん、濃さを保ったままで周辺に拡散していくみたい。不思議な読後感。
愛したりない
〔文庫1998年/親本1992年〕