本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
鈴木輝一郎『めんどうみてあげるね〜新宿職安前託老所〜』(新潮文庫)
たとえば私だって、これから年月が経って、自分の親が働けなくなったときのことなどについては、今の段階では全く自信がないのである。そのときが来たら何がなんでも何とかするしかない、と思っているだけなのである。

「新宿職安前託老所」には、“行き場のない”老人たちが預けられている。病院に入るほど衰えてはおらず、手厚く世話をしてもらえる老人ホームに入るほど裕福でもなく、家族には仕事があって日中世話をしてもらうわけにも行かず、かと言って一人で一日を暮らすには色々と不安が大きいお年寄り。しかし、ここにいられるのも、「惚けていない」という条件を満たしている間だけ。

そんな老人たちのなかに、一人だけ、さやかという幼児が混じっている。老人たちの間で育ったためか、どこか普通の幼児とは違う不思議な子だ。すごく無邪気にブラックな言動を取ってくれるんだよね。怖いぞ。

託老所に入ったばかりの中村きんの視点から始まるこの連作短編は、一体、これから歳を取っていく私たちの親たちと、これから歳を取っていく私たち自身は、どうすればいいんだろう、という問題を突きつけてくる。

どうすればいいんだろう?

めんどうみてあげるね―新宿職安前託老所
めんどうみてあげるね―新宿職安前託老所
〔文庫1998年/親本1995年〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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