本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
はやみねかおる『亡霊(ゴースト)は夜歩く』(講談社青い鳥文庫)
名探偵夢水清志郎事件ノートの第2作。前月読んだ第1作でほのぼのしてしまったので、続編も読むことにしたのである。始まりは、『バイバイ スクール』の直後に読み始めたのはまずかったか?……と一瞬思った、“学校に伝わる不思議伝説”ネタ。

主人公の少女たちが通う虹北学園で、壊れているはずの時計塔の鐘が鳴り出した。そして“亡霊(ゴースト)”と名乗る謎の人物からのメッセージ、夜中のうちに校庭に描かれた巨大な魔法円、と不思議は続く。果たして「時計塔の鐘が鳴ると人が死ぬ」「夕暮れどきの大イチョウは人を喰う」「校庭の魔法円に人がふる」「幽霊坂に霧がかかると亡霊がよみがえる」という4つの伝説は、現実となってしまうのか。

そんな騒動が起こる一方で、「わたし」こと亜衣ちゃんたちは学園祭の準備にてんてこまい。なんせ今年は、クラス一の変人、麗一(通称レーチ)が何を血迷ったのかいきなり実行委員長に立候補したうえに、亜衣を強引にアシスタントに任命してしまったのだから。

このレーチというのがねえ、反逆児で問題児で亜衣には「野蛮人」なんて呼ばれているけど、なかなかいい子なのよ。おねーさん、好きだわあ。

で、えーと、ミステリ部分の話をまだしてなかったのか。というか、今回は正直言って、あんまりミステリとしての仕掛けが印象に残ってないんですよね。このトリックを実行するのはなかなか大変だわねえ……という感想を抱いた記憶はあるんですが。まあ好みの問題かな。「小粒でピリリ」みたいなトリックがシュミな私の言うことだしなあ。というか、亜衣ちゃんたちやレーチの学園生活を楽しみつつ自分の学生時代など思い出しているうちに一気に読み終わってしまったというかんじで。

前作『そして五人がいなくなる』に比べると、ちょっと“犯人”の動機は重い。自分が学校に通っていた頃に感じていた「もどかしい」気持ちを思い出す。でも、根っこのところは多分同じだね。子供たちに注ぐ視線が。発展途上な子供たちを、大人はどんなふうに見守っていけばいいのか。そんなことを、夢水探偵は、へらへらとした表情の向こう側で、実は結構真剣に考えているのかもしれない……もしかしたら。

ってわけで(←接続関係が意味不明だが)、前回に引き続き、この本のなかで私が好きな台詞を一つ。校則なんか糞食らえの自由奔放な問題児であるレーチに、数学の美人教師、真木先生がいう言葉。

「あのね、中井くん。一つだけ、おぼえておいてほしいことがあるの。(中略)先生たち――ううん、先生だけじゃない――すべての大人には、きみたちのような子どもの時代があったってことを。」

ふふふ。そうなのさ。大人なんて、子供が大きくなっただけなのよ。自分がコドモの頃は、理解不可能な生き物みたいに思っていたけれど。

でも本当は、“かつて子供だった”ことを忘れちゃってるオトナだって、世の中には結構いるんだよね、きっと。

亡霊は夜歩く<名探偵夢水清志郎事件ノート>
亡霊は夜歩く<名探偵夢水清志郎事件ノート>
〔文庫版2007年/親本1994年〕
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