本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
中野翠『私の青空1991』(文春文庫)
中野翠は、何から読み始めたんだったかなー。とにかく好きです。気持ちいい。

この人は、とにかく正直だ。おもねるということをしない。そしてまた、自分を正当化するということもしない。かと言って、肩肘張ってるわけでもない。私の思う「かっこいい女の人」の条件を満たしているのだ。そしていつもちょっと醒めた皮肉っぽい目で、でも決して冷たくも狡くもならない不思議な目で、世の中を眺めているのだ。

で、新しく文庫化されたこの本。雑誌『サンデー毎日』等に掲載されたコラムをまとめたもの。特に第5章の「『男まさり』の楽しいオマケ」という文章で、私は救われました。

私が凄いなと思ったところは、2点あります。

うまく要約できないけど、いわく昔は「女子校育ちのノリ」を指摘されると世間知らずとか甘いとか言われた気がして嫌だったけど、現在「男性と肩を並べて」「いわゆる男まさりに」仕事をしてきた、自分の力で生きてきた、という自負のある自分にとって、綺麗なものや可愛い物が好きだったりする、いわゆる“女っぽい”自分の一面というのは大事にしていきたい愛すべきオマケ部分でもある、という話が一つ。

もう一つは、喫茶店で偶然となりのテーブルに座っていた、真にお嬢様育ちであろうと思われる年配のご婦人方の喋りが上品で美しくて感動した、という話。世間の荒波からかばわれて誰か(父親とか、夫とか)の庇護のもとで歳を重ねたであろう彼女たちは、自分にとってはじれったいような生きかたをしている人たちではあるけれど、その一方で存在自体によって人の心をほんわりと和ませてくれる貴重な人種でもあるのだ、という話。

これ読んでね、自分はまだまだ若輩者だなと思いました。

今はまだ、世間知らずとか甘いとか言われることに過剰に反発して(でも実際甘いんだけどね、判ってる)キリキリしてる部分って、ちょっとある。それから、女の子はこうでなくちゃ、と古い価値観を押しつける人々に、殆ど憎しみに近い感情を持つことだってある。お嬢様学校出て親の勧めですぐお見合いして立派な男の人と結婚してそのまま家庭に、みたいな話聞くと他人様の勝手なのに変に苛々しちゃったり。これは僻みもかなりあるんだろうけど。

普段はぽーっとしてる私でもね。

でも、これ読んだら、肩の力抜いて生きようと思いました。私だって、可愛いものとか綺麗なものとか、大好きだし。みんな幸せに生きればいいんだよね。ただ“自分にとっての自然”を好きなように探せばいいことなんだ。そう思ったら、すごくラクになった気がした。

いつか私も、自分の力で生きてきた、と言い切れる自分になりたいです。自分だけの力で、と言ってしまう傲慢さには決して染まらないようにしたいけど。

(うーん、マジだなあ。)

(初出 1996/3/12)


私の青空1991
私の青空1991
〔1996/1991〕
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