本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
神林長平『敵は海賊・A級の敵』(ハヤカワ文庫JA)
待望の「敵は海賊」シリーズ第6弾!なのである。本作ではいつものラテル刑事、猫型異星人アプロ刑事、高知能宇宙戦艦ラジェンドラたちレギュラー陣の他に、海賊の間では「ラテル並みの射撃の腕前とアプロ並みの意地汚さを持ち馬鹿なのか利口なのか分からない」と恐れられる(?)、海賊課宇宙刑事セレスタンなどの新キャラも登場。なかなか飛ばしてくれます、このセレスタンは。

そして、こんなやり方ができるのは海賊か海賊課だけ、というほど完膚なきまでに破壊された宇宙キャラバンを襲った真犯人を調べるうちに、浮上してきた「A級の敵」とは。

このシリーズの面白さって、複雑。キャラクターのぶっとんだ魅力。各々のセリフのおかしさ、かっこよさ。マンガを読むように軽くさくさく読めてしまう文章。そして、そういう部分と、しっかりSFしている部分とが、きちんと両立していること。

どの作品でも一貫してラテルたちが直面する問題は、果たして今、自分たちがこの目でみている“何か”をそのまま認識してしまっていいのだろうか、といったこと。「意味するもの」と「意味されるもの」、そして両者の「本質」の関係は、実はとても緩やかな結合でしかなくなることも有り得るのだということ。そんな気がする。

著者本人がこの本のあとがきで「不当に情報操作するもの」と表現する、何か。それが、海賊課ラテル・チームの面々と、海賊の中の海賊ヨウメイやその仲間との、共通の敵。

そして、アプロという存在。一見、大食らいの黒猫にしか見えない、アプロ刑事。シリーズを追うごとに、どんどん得体の知れない存在になっていく。まだまだ目を離せないシリーズだよねー。

敵は海賊・A級の敵
敵は海賊・A級の敵
〔1997〕
か行(作者名) | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |









http://archive.mushi.pepper.jp/trackback/531000
前の本 | main | 次の本
+ about this blog
 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
 現在では捉え方が変わった本もありますが、感想文は誤字の修正など以外ではほぼ当時のまま。
 今後の実質的な更新はありませんが、コメント、トラックバックは受け付けています。