本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
太田忠司『幻竜苑事件』(徳間文庫)
やっぱり、おとぎ話かもしれない。でも、それでいいの。

『月光亭事件』から1ヶ月後、再び俊介少年を迎えることになった石神探偵事務所の野上さんの前に、「十年前に両親を殺した犯人を捕まえて」という幼い少女が現れた。

『月光亭事件』の感想のときに書き忘れたんだけど、私、あの物語の始まりの部分がとても好きだった。おずおずとノックの音がして、野上さんがドアを開けると、そこには……というやつ。その大好きなシーンを踏まえた今回の物語のスタート、これだけでもう嬉しかったりする。

野上さんと俊介くんの絆は深まっていくものの、事件の結末はやはり少年に抱え込ませるには残酷なほど重い、人間の心の闇を垣間見せてしまう。けれども心優しい周囲の人々に見守られて、彼は少しずつ成長してゆくのだろう。いつか、人の心の痛みが分かる純粋さを失わないままで、全てを受け止めることのできる強い大人になっていくのだろう。

うーん、思わず野上さんと一緒に「見守り保護者モード」に入ってしまうんだよねえ。かわいいんだもん、俊介くん。

幻竜苑事件
幻竜苑事件
〔1997/1992〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
 現在では捉え方が変わった本もありますが、感想文は誤字の修正など以外ではほぼ当時のまま。
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