本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
新井素子『あたしの中の・・・』(奇想天外社)
先月久々に新井素子の本を読んだら、なんだかとても懐かしくて、昔読んだ初期作品も読み返してみたいなあ、と思ってたんですね。でも実家のダンボール箱の中から発掘するのも大変だしってんで躊躇していたら、ちょうど某古本屋さんに出ていたもので、つい買ってきてしまいました。

女子高生SF作家・新井素子デビュー作の中編「あたしの中の……」に初期作品「ずれ」「大きな壁の中と外」の2編を加えた作品集。ソフトフォーカスのかかった17歳(かな?)のポートレート付き絶版本。もしかしてこれって“まにあ垂涎”の品なのでは……って知らんけど。

で、再読の感想を少々。以前から思っていたことなんだけど、ああ、この人デビューの頃は“小説”としての枠組みがこんなに前面に来てたんだ……と。この後の新井素子作品って、(もちろんそれが魅力の一つなんだけど)キャラクターの自己主張や物語のテーマ性がものすごく強くて、ストーリー作りの本能の流れに身を任せて自然な勢いで書いていったという印象のものが多い。よく後書きで「書いても書いても終わらなくて、当初の予定よりずっと長くなってしまいました」なんて言い訳してあったよね。それが、このデビュー当時の作品群を見ると、なんというか小説の構造自体に趣向を凝らしましたという人工的な匂いが結構するのね。計算してカチっと収めました、というような。それはそれで、面白いんだけど。きっと、一生懸命書いたんだろうなあ……なんてこと思っちゃいかんわね。はは。

実は、昔から新井素子さんの本のなかでは、好きな方だったのですよ、これ。他の作品みたいにキャラクターにファンがつくようなものでは決してないですが。それにしても、最近は彼女の小説作品の新作って全然出ないねえ(私が知らないだけ?)。

あたしの中の…
あたしの中の…
〔新装版コバルト文庫2005/コバルト文庫1981/単行本1996,集英社/単行本1978〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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