本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
西澤保彦『瞬間移動死体』(講談社ノベルス)
うんうん、よしよし。

同じ日を何度も繰り返してしまうとか、死者を生き返らせる機械とか、毎回ぶっとんだ設定を出してくれる西澤保彦。この作品では、一瞬で違う場所へジャンプできてしまう超能力、テレポーテーションである。主人公はテレポーテーションを使った完全犯罪計画を練り上げるのだけれど、事態は思わぬ方向に……。

このテレポーテーション能力が発揮され得るには、例によって色々と条件があるわけです。すべての条件を念頭に置いて、合理的な解決を導き出してみんさい、ふっふっふ……という、作者のほくそえんだ顔が目に見えるようだ。

なんつーか、パズラーって、やっぱりいいよねという感じ。ばらばらだったジグソーのピースが、最後にぱしぱしと嵌まっていく、この快感。「そんなこと、普通はないってば」というくらいに強引なのが、この人の場合はかえってよいですね。「ないかもしれないけど、でも、これならちゃんと条件を全部クリアするだろ?」という面白さ。大体、そもそもテレポーテーション自体、あるわけないっちゃあるわけないんだから。

ま、現在この手の西澤作品で私のベストは未だに『七回死んだ男』だったりするわけですが、この作品も悪くない。ジグソーというよりは、むしろスライドパズルか。

後、ストーリーの構造を浮かび上がらせるのに効果的な、極端なキャラクターが、今回なかなかいいです。特に、怠けるためなら努力を惜しまない(!)主人公。この人が、くどくどと言い訳じみた口調で語ってくれると、なんか説得されてしまうんだよね。彼が最初に殺そうとする奥さんも、憎めないヤな女。おかげで読後感が、とてもいいの。楽しませていただきました。

瞬間移動死体
瞬間移動死体
〔文庫2001/新書1997〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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