本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
篠田真由美『原罪の庭』(講談社ノベルス)
建築探偵・桜井京介シリーズ第5弾。これでシリーズ第1部終了とか。

うーん、相変わらずの少女漫画ノリだぜ、美少年と美青年と美中年(笑)。嫌いじゃないんだけどね。少女漫画だとしても、良質な部類だと思う。

前作『灰色の砦』に引き続き、回想編。今度は二十歳の京介と蒼少年との出会いにまつわる物語。豪邸の密閉された温室のなかで、残虐に切り刻まれた4つの死体と言葉が喋れなくなった幼い少年(後の蒼くん)が発見される。前の事件で近しい人々との生活を失い、抜け殻のようになっていた京介は、ためらう神代教授をほとんど無理矢理に引きずり込んでまで、なぜかこの少年を刑事的・心理的両側面から救おうと奔走し始める。シリーズ初期で謎の多い少年として登場した蒼の抱えるバックグラウンドが明らかになると同時に、京介にも何やら幼年時代から引きずる暗い影があるらしいことが暗示される。

もう、完全にキャラクターの追っかけだけで読んでるからなあ、このシリーズ。事件の謎ときよりも、こいつらの過去や近況を知りたいという。これ、建築探偵と言いつつ、「建築」はさほど重要な鍵になってこない(と思う)。犯人もあんまり意外じゃない(と思う)。シリーズ第2部に入ったらちょっとは変わるのかしら。と、いうことを考え合せると、後カバーの宮部みゆきによる「人間もまた、その内側に『謎』を住まわせている建築物……」という推薦文とか、折り返しの「(犯人探しよりも)動機探し」という著者のことばも、ちょっと開き直ってないかいって気も実はする(笑)。

で、そのキャラクターたちだって、実は結構見事に「お約束」に嵌まった人々だったりはするのである。その嵌まり方が快感と言いますか。その辺が、少女漫画だって言うんだけどね。(ちなみに、こんなことを言われたら、この著者ならきっと「人間というのはその根幹は普遍的なものであって」とか反論するんだろうな……と思わせる“著者のことば”や“あとがき”を書く人ではあります、篠田真由美って。)

いいの。何だかんだ言いつつ、きっと次作が出たらまた読みます。京介の過去が明らかになって昇華され、メインキャラがみんなそれぞれの道に巣立って行くまで。

原罪の庭―建築探偵桜井京介の事件簿
原罪の庭―建築探偵桜井京介の事件簿
〔文庫2003/新書1997〕
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