本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
稲見一良『男は旗』(新潮文庫)
ああもうほんと、私は男じゃないから“男のロマン”なんてもんは判りませんが、もしかして稲見一良の描く世界というのは、そうなんじゃないかしらと思ってしまうときがあります。ってまだこの人の本は2冊しか読んでないけど。

かつては七つの海を航海していた美しいシリウス号も、今では船籍を外されて海に浮かぶホテルとして機能している。プロペラシャフトも切断されて、もう航海に出ることもない……筈だったのだけれど、経営難で止むを得ないとはいえ俗悪な大企業の買収に耐えかねた“キャプテン”安楽さんと、同じくシリウス号を愛する心優しきアウトローな仲間たちは、意を決して密かに船を出航させてしまうことにした。帰るあてもない、冒険の旅の始まりです。

わくわくします。どきどきします。

これ、ほとんどファンタジーの雰囲気を持つ、単純な構成の物語なんだけど。でも、何故だろう。なんだかこれをきちんと受け止めて楽しめるというのは、大人の特権なんじゃないかな、という気がするのだ。うん、ガキが読んだって仕方ないよ、というような。(そういう私がガキだって?)

少年の心を失っていない、でもしっかりと大人に成長した男の人が、少年の頃の「わくわく」や「どきどき」を蘇らせて同じような人たちのために書いた本、と言った趣があるのでした。ちょっと妬けるな。

男は旗
男は旗
〔文庫1996/単行本1994〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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