本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
京極夏彦『絡新婦の理』(講談社ノベルス)
読んだことない人に「京極夏彦ってどこが面白いの?」と聞かれてちゃんと説明するのは、難しい(少なくとも私にとっては)。「とにかくちょっと読んでみてよ」と言っても見るからに長くて重いから、大概の場合その言葉だけじゃ読んでくれないんじゃないかと思う。

ところが、いったん京極にハマった人って、“長さが快感”なんだとしか思えない反応してない? 前より短かったら怒るよ、みたいな。私も、最近ちょっとそういうかんじになってきた。ってわけで、「本当にこれって829ページもかけて延々とやる必要がある話なの?」なんてこと、判らない。それを冷静に判断する能力が、既に私からは失われている。これも“憑物”ってやつだろーか。

だからもう無条件に、どんどん黙々と読み進んでしまうのである。

そしてまた、読ませてしまうんだよなー。キャラクターの書き分けが巧いよね。みんな個性がはっきりしてて。どんどんどんどん増殖してくるレギュラーな登場人物たちともなんだかしっかり馴染みになっちゃってて、「おお、こんなところでお会いするとは奇遇だねえ、久々だけど元気?」なんて思いながら読んだりする。そう。今回のこれは一見、奇遇に次ぐ奇遇、といった話ではあるのだ。なんせ犯人は「蜘蛛」だからねえ。初めは互いに遠く離れていた、ありとあらゆる要素が、いつの間にか有機的に結びついて、役者もオールスターキャストで揃ってしまう。全てが、一つの“中心”に向かってきれいに収束していく。まるで蜘蛛の巣のように。

「力技」を読んでしまったなあ、と思いました。

しかしまた、読んでない人に内容を説明するのが非常にめんどくさい。どう説明しても、舌足らずになりそうで。そういうわけで私は、これを人に紹介する場合は内容には一切触れず、ただ「829ページを読みおわった瞬間、また1ページ目から読み返したくなった本(結局読み返さなかったけど……)」だと説明することにしたのだった(作品の構成自体が、そう仕向けるようになってはいるんだけどね)。

文庫版 絡新婦の理
文庫版 絡新婦の理
〔分冊文庫版2006/文庫2002/新書1996〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
 現在では捉え方が変わった本もありますが、感想文は誤字の修正など以外ではほぼ当時のまま。
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