本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
桐生操『やんごとなき姫君たちのトイレ』(角川文庫)
私がもと西洋史専攻の学生、ということでお薦めいただいた一冊。トイレに限らず、歴史の表には出てこない昔の貴族たちの「秘められた私生活」にまつわるエピソード集、なのでした。ちなみにこれ、最初はTOTO出版から出てるのね。なるほど、なるほど。

えー。大変読みやすいです。さくさく読めます。ただ、その、まあいわゆる“下ネタ”風の話ばかりではあるので、電車のなかで読んでると思わず本開く角度が狭くなってしまったりはするのですが。

正直言って、何をどう書くか戸惑っています。それは普段の私が、どっちかっつーと「見栄っ張りで、頭でっかち」な女だからです。つまり、表向きは可能な限り「わたくし、そういう下世話なことどもについてはお話しとうございませんの」とすかした顔をしていたい女なんだな。しかしまた、人間ってのはそういう“形而下”の部分までひっくるめてのもんなんだよ、と言うのも、もちろん事実なわけで。理想としては、そーゆー話題におたおたすることも固まることもなく、常にクールにニュートラルに、かつ場の雰囲気を壊さないよーに柔軟に対応できるスマートなおねーさんでありたいものだな、と思います。今更“純情派”やれる歳でもないし。

ああ、話ずれたな。本の感想ね。要するに、例えばそういう私のような女がこの手の“下ネタ”話を敬遠してしまう、というのは、あくまでも私が「今のこの時代」に生きているからに過ぎない、ということが良く判る本です。昔は、もっとオープンに自然なこととして語られ公然と行われてきたものが、いつのまにか「臭いものにはフタ」となってしまったわけね。だからこそ、この本の中で語られる当事者である「昔の人々」にとっては大してヘンでもなかったであろうエピソードが、今この本を読む私らにとっては“すごいヘン”でおかしかったりする、という。常識なんて、時とともにどんどん変わっていくもんなんである。「ふーん、なるほどなあ」と思いつつ読んだのでした。

あと、ちょっとだけ弁解させてもらうとですね。この手の歴史エピソード物で、「あんなことがありました、こんなことがありました。おかしいですねー。びっくりですねー」というのをひたすらに羅列してあるやつって、もともと苦手なんですわ。「ふーん、だからどうしたの?」というかんじで。やっぱ、本として発表するからには、そこからさらに突っ込んで、それらの事実が何を意味しているのか、という著者のツッコミがほしい。そういう部分がないと、こういった「知られざるエピソード」を紹介する本って、単なる興味本位のものになり下がってしまうと思うのだ。文化史的なアプローチは十分に可能なテーマだと思うんだけどな。下ネタだとかそういうこととは関係なく、その辺が、かなり物足りなくて残念。

やんごとなき姫君たちのトイレ
やんごとなき姫君たちのトイレ
〔文庫1996/単行本1992〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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