本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
篠田節子『贋作師』(講談社文庫)
かつて、卓越した技巧を持ちながらも画家としての才能そのものには限界を感じている、という共通点でつながっていた男と女。女は絵画修復家としてそれなりのキャリアを積み、男は決して自分の名を世に出すことのないまま、謎の死を遂げる。彼の師事していた日本洋画界の大御所の死後、その作品の修復を手掛けることとなった女は、男の死に疑問を抱くようになる……。

うまく言えないけど。圧倒、されてしまった。

これが真相か、と思われたものが、次々と覆されて最後まで緊張感が抜けない。物語のなかでは既に死んでしまっている画家の弟子とその愛人だった画家の妻の、世の常を超えてしまった関係のどろどろした描写も迫ってくるし、謎に挑む絵画修復家と彼女に協力するゲイの彫刻家の健全なバランスの取れたキャラクターもいい。同じところから出発しても全く違う到達点にたどり着いた画家の弟子と絵画修復家の、歳月を超えたつながりと訣別も、興味深いです。

贋作師
贋作師
〔文庫1996/単行本1991〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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