本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
乃南アサ『幸福な朝食』(新潮文庫)
1996年度上半期直木賞を受賞した乃南アサの、8年前のデビュー作。

女優を目指しながらも、自分と瓜二つの別の少女に先を越されたがために夢を果たせないまま、人形使いとして34歳になったヒロインが、その自分とそっくりな女優の若い愛人と一緒に仕事をすることになってから、徐々に心の中に狂気を目覚めさせていく……。

なんて言うんだろう。ここまで、人間の心の中にある弱さや底意地の悪さや野心のための卑怯さ……みたいなものを執拗に書き込んだ小説は、久々だったような気がする。怖い、本です。8年前に読んだら、それほどでもなかったかもしれないけど。常軌を逸していくヒロインの、焦りや孤独が少しは判る歳になってしまったからかも。決して後味のいい本ではない。でも、巧いの。次々と明らかになる真実。意外な過去の真相。嫌な気分になりながらも、つい読み進んでしまった。

実はこれ、途中まで読んで「あれっ?」と思った。私、何年か前に偶然、浅野ゆう子主演のTVドラマ版を見ていたのだ。今でもかなり具体的に覚えているってことは、テレビの2時間物ドラマにしては結構しっかりした作りだったんだろう。ちゃんと別に原作の小説があったのか、と思うと納得したりして。解説によると、ドラマ化すること前提の日本推理サスペンス大賞で優秀作を受賞して世に出た作品なのだそうです。

幸福な朝食
幸福な朝食
〔文庫1996/単行本1988〕
な行(作者名) | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |









http://archive.mushi.pepper.jp/trackback/183189
前の本 | main | 次の本
+ about this blog
 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
 現在では捉え方が変わった本もありますが、感想文は誤字の修正など以外ではほぼ当時のまま。
 今後の実質的な更新はありませんが、コメント、トラックバックは受け付けています。