本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
清涼院流水『コズミック〜世紀末探偵神話〜』(講談社ノベルス)
手に取る前から、いくつか非常に否定的なレビューを読んでしまって、それで変に興味をそそられてしまった。そんなに話題になるのなら、読まねばなるまい、『コズミック』、と。

ってわけで。

あんまり期待しないで読みはじめたんだけど、それがかえって良かったのかも。実は結構、面白かったのです。取り合えず後書きまで入れて計709ページ、それほどしんどくなく全部さくさく読ませてしまうんだから、偉い偉い。ずいぶん若い作者なのにね。

まあ、推理小説としては読んでないけどね、私は。「ミステリの世界を舞台に繰り広げられた、壮大なる法螺話」というイメージかな。

大体、途中まで読んだところで「これで“ふつーの論理的解決”を持ってきたら、怒るからね」と思ったよ、私は。だってもう、ここまで大風呂敷広げておいて、常識的な終わりかたできるわけないじゃん。全国で毎日最低3人の人間が、密室で首を切られて自分自身の血で背中に「密室」と書かれて発見される。生まれた時点で既に首切られてる赤ちゃんだの、運行中のスペースシャトルの中で死んじゃう人だの。古文書は出る切り裂きジャックは絡む、探偵はほとんどギャグになるくらい超人的……etc.etc.。さあ、どこまでハチャメチャなぶっとびかたで締めてくれるのか、お手並み拝見……………おお。そーか。そう来ましたか。ほうほう。

と、いう感じで私は楽しく読んだのでした。

ただ、ね。少しだけ、憎まれ口を叩いていい?

私、なんでこの本が一部でやたらと(プラス、マイナス両方の意味で)騒がれてるのか、正直言って判らない。私にとっては、「講談社ノベルスの異様に分厚いミステリ」(って十把一からげにするのも何だけどさ)のなかでは、一番「普通」に読めた本だったから。帯のコピーに「異形の妖花」とか「最凶のカード」とか書いてあったら、色々期待するじゃない? ところが「そういうものなのか」と思って読んだ場合、今までで一番毒もアクもない“清涼飲料水”(すみません)そのものだったの(もし作者がそこまで意図してあのペンネームを決めたのなら、私もう何も言わないけどね)。

あまりにも抵抗なく、漫画でも読むようにあの分厚い本を楽しくへらへらと読みおえてしまったというのが、かえってちょっとおねーさんは後になって物足りなかったかなあ、と。

ぜいたくですか?

コズミック―世紀末探偵神話
コズミック―世紀末探偵神話
〔文庫2000/新書1996〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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