本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
有栖川有栖『孤島パズル』(創元推理文庫)
「学生」アリスこと有栖川有栖、英都大学2回生、推理小説研究会会員が語り手のシリーズ第2作。

私は講談社の「作家アリス」シリーズの方に先に出会ってしまったし、学生アリスの本は第3作から入ってしまったという不届き者なので、これのラスト読んで第3作『双頭の悪魔』(東京創元社)の冒頭でマリアが失踪しているわけが判ってすっきりしました。って、いきなりラストの話をするかね私は。

ああ。いいなあ。学生時代。なんかこういう感じでした、私も。別に推理研には入ってなかったし(入ろうと思ったことはある)、夏休みに3年前に人死にがあったような孤島へ宝捜ししに行ったこともないし、当然そこで連続殺人事件に遭遇したというようなこともないけど。マリアみたいなお嬢さんじゃなかったし。江神さんみたいな不思議な先輩……はいたかもしれない。

とにかく、どこにどう共通点があるってわけでもないんだけど、なんかこういう時期が私にもありました。そういう観点から楽しむなら、第1作『月光ゲーム』(創元推理文庫)よりも、絶対こっちです。

有栖川作品は、たしかにトリックが丁寧だし、クイーン・ファンを自称するだけあって論理的パズルとしてのミステリに非常にこだわってる人だと思う。そういう部分も、すごく私の波長に合う。けど、有栖川に限って言えば、特に2つの「アリス」シリーズについて言えば、私は彼の作品に出てくるキャラクターたちが好きで読んでいるんだと思うな、どっちかって言うと。みんなそれぞれが、非力な自分を自覚しながら、ささやかだけど精一杯誠実に生きている。

ミステリとしても、デビュー第2作、初めて出版社からの注文を受けて書いた作品、というだけあって気合の入った端正な仕上がりです。

孤島パズル
孤島パズル
〔文庫1996/単行本1989〕
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 かつて存在した「本の虫茶房」というサイトの1996年から2000年の読書メモと、現行サイト「虫の居所」の2002年までの読書メモを再掲載しています。
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