本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
加藤実秋『天使の涙(映画ノベライズ)』(映画脚本ウォン・カーウァイ/扶桑社文庫)
『哲学者の密室』を読んで脳味噌が疲れてたので、ちょっと息抜き。この本自体は、悪いけどどうでもいいなあ。ただウォン・カーウァイの映画は好きなもので。「天使の涙」(堕落天使/Fallen Angel)〔香港,1995〕は封切り2日目に見に行ったのだ。前作「恋する惑星」(重慶森林/Chungking Express)の方がやっぱり好みではあったけど(あれは去年私がみた映画のなかではベストワンです)。

「天使の涙」、なんというか、不思議な映画でした。ストーリーが、あるような無いような。今まで見たウォン・カーウァイ映画(「いますぐ抱きしめたい」「欲望の翼」「恋する惑星」)の全てに、どこか似ている。でも似ていない。当たり前か。

金城武くんは、やっぱり不思議な存在感のある子ですね。存在自体はすっごい不自然で強引なんだけど、しばらく見てると当然のように思えてきちゃう、というか。期限切れのパイン缶を食べすぎて口がきけなくなった男の子、という荒唐無稽な設定をものともせず、壮絶なボディ・ランゲージを駆使してイノセントに演じておりました。(恋をすると頭が金髪になっちゃうんだよー。失恋するともとに戻るの。)

そういう男の子の頭の中身をさ、ノベライゼーションで延々と説明的に文章化されると結構白けてしまったりはする。映画自体が、かなり登場人物のモノローグに頼って進行していくつくりではあったんだけど。

ウォン・カーウァイの映画っていうのは、「どーとでも取れる」要素がめちゃくちゃに多くて、解釈は見る人によって、あるいは同じ人でも何度も見る度に、違うものでありうる筈なので(いや、単に整合性に欠けててつじつまが合わないだけって話もある)、シナリオの表面だけをなぞって小説化してもかなり苦しいと思います。

映画の内容を思い出すには、そこそこ便利な本。

天使の涙
天使の涙
〔1996〕
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『天使の涙』
1995年の香港映画。原題『堕落天使』、英題『Fallen Angels』。監督:ウォン・カーウァイ。出演:レオン・ライ、ミシェル・リー、金城武、チャーリー・ヤン、カレン・モク他。
| 虫のいい日々 | 2006/02/10 12:30 AM |
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