本の虫

虫干し読書録

こ ん な 本 を 読 ん で い た 。
笠井潔『哲学者の密室(上)(下)』(光文社カッパノベルス)
上巻561ページ、下巻434ページの「日本最長の本格密室推理」。これのせいで、今月は読んだ本の冊数が少ない。新書版のくせに2冊あわせて2500円もして、挟み込みの広告には〈カッパノベルスは3年間文庫になりません〉と書いてある。ああ(のっけからセコい話でごめん)。

矢吹駆シリーズは、今でも高校時代に読んだ第2作、シモーヌ・ヴェイユをモデルにしたキャラクターが登場する『サマー・アポカリプス』(創元推理文庫)が一番強烈に頭に残っている。あの頃は今よりアタマ良かったしな、私。

で、ジョルジュ・バタイユの思想をベースにした第3作『薔薇の女』(創元推理文庫)から10年を経て書かれた今回の第4作。軸に来る思想は、マルティン・ハイデガー(作中ではマルティン・ハルバッハの名で登場)。カケルとナディアが遭遇するパリのユダヤ人資産家の屋敷で起こった殺人事件と、第2次世界大戦中ナチのユダヤ人収容所で起こった殺人。時を隔てた2つの「三重密室」にカケルが挑むわけなんですが。

えー。悪いけど「とにかくしんどかった」という印象しかないや、今となっては。下巻からはさすがにわりとスムーズに読み進んだんだけど、そういう状態に入るまでがやたら長くかかってしまった。特にカケルたちが登場しない、1945年の話が延々続くところでは、状況を把握するまでは殆ど苦行って感じで読んでました。やっぱり私、絶対社会人になってからアタマ悪くなったと思う。はー。

カケルさんの修行はどういう方向に進んでいるんだろう、これから彼はどこに向かうんだろう、ニコライ・イリイチはどうなって、ナディアはどんなふうに成長していくんだろう…。ナディアとカケルさんがどーにかなっちゃうなんてことは、果たしてあり得るのか…? と、いうよーな俗っぽい興味だけだな、私をこのシリーズに向かわせるのは、こうなってくると。

高校の頃は、なんかわりと「教養書」的に読んでる部分もあったような気がするんだけど、今これ読んで「ついでにハイデガーも読んでみよう」とは私もう、思わないもん。あーあ。バカになっちゃったよお、私。

でも『サマー・アポカリプス』は、きっと今読んでも面白いと思うな(←負け惜しみ!)。

哲学者の密室〈上〉哲学者の密室〈下〉

哲学者の密室〈上〉
哲学者の密室〈下〉
〔文庫1999/新書1996/単行本1992〕
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